東西の月との関わり方 23年9月 月見香
月との関わり方は日本人、あるいは東洋と西洋とではずいぶん違うようです。 タロットカードの「月」の解釈がよくそれをあらわしています。 一言でいうなら月は見えないもの、隠れているもの、変わりやすく捉えどころのないもの、という解釈です。 そこから深層心理の領域、あるいは神秘的な分野を意味します。 もう一点は「女性的力」です。
「月」はたえず変化してとらえどころがない、その捉えられないということが、事象を言葉で定義したいという西洋の方向性からすると、怖い、怖さが昂じたら心が狂う。 ”lunatic” が端的にそれを言い表していますね。
多くのデッキの「月」のカードには二つの塔か柱が描かれています。 これは「門」です。 手前には水が描かれ、魚のような水生生物や狼が空しく門にむかっている図が描かれています。「水」は感情、として捉えられているものです。 混沌とした水の世界から定義できる理性の世界への門といったところでしょうか。
それに反して日本では月は冴え冴えと孤高の空に輝くものです。 満ちては欠け、生と死の無窮の律動をくりかえす自然そのもののの象徴です。 あるものをあるがままに受け止め、そこに生命の神秘、人生のありようを認めるという東洋の心の方向性を感じます。
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